家族の肖像

momoneko42006-09-06


ルキノ・ヴィスコンティの『家族の肖像』を見た。
ローマの豪邸に住む孤独な教授は、〈家族の肖像〉と呼ばれる18世紀の英国の画家たちが描いた家族の団欒図のコレクションをしながら、静穏そのものの生活を送っていたが、ある家族の一群に侵入され、そのことによっておきる波紋を、ヨーロッパ文明と現代貴族のデカダンスのぶつかり合いやすれ違いを根底に描く。
なんか…セリフの流れが知的で比喩的で、画面の美しさや流れをぶち切るような字幕が出てきたりして、時々ついて行けなくなったけど(字幕訳が良くなかったのかな?)、やっぱりヴィスコンティはすごい。重厚で暗い室内や、登場人物たちの空気を変化させて行くような光(照明)の使い方にうなった。(撮影は Pasqalino de Santis [パスカリーノ・デ・サンティス]←この人きっとスゴいんだろうな。ちょっと後で調べてみよう。)主演の老教授を演じたバート・ランカスターの演技が素晴らしくて、彼が画面に出てくる度に涙が出そうになった。もう一人、出てくるだけで姿を追わずにはいられなくなる美貌の持ち主はヘルムート・バーガー。か、かっこいい。粗暴で意固地で、かつ退廃的で美しい、貴族たちの愛玩である自身の身を憎みながら、美術の知識も深く、インテリな左翼の若者。演技はイマイチだったけど、彼のキャラはイイなぁ。悶えるねぇw 友人が、あまりにカッコいい俳優が出てると、映画が本当に素晴らしいのか、その俳優のかっこよさのせいで良く見えるのか分かんなくなる…と言ってたけど、それに近い感じになってしまった…(笑)いやでも、ヴィスコンティの名作ですから。大丈夫大丈夫…たぶんw
“美しきものは追い求めよ、少女であれ少年であれ抱擁せよ……性の生命は墓に求めえぬゆえ"
若者3人が教授の書斎でカンツォーネに合わせて全裸で踊るシーンは素晴らしかった。詩人オーデンの言葉が一言一言染み込んで、脳が溶けるかと思った。まだまだアタイも若いな!憧れるなぁw
血の繋がり…といった意味で本当の家族ではなくても、一瞬でも「家族」になれる瞬間がある…。1974年の作品だけど、今の〈家族の肖像〉の意味を、もう一度じっくり考えることのできる一本です。